「買物利便性」は価格に影響するか?

同じ利便性でも、『交通利便性』はダイレクトに物件価格に影響します。では、『買物利便性』はどうでしょうか?

結論からいうと、これはさほど影響を受けない印象があります。(都心部の話です。ロードサイドの方が駅前よりも栄えているようなエリアでは、価格形成要因が異なるので、このコラムは無視してください。)

ここ新宿の曙橋でも、「駅から5分」という条件は同じでも、周りにスーパーがないなぁという場所と、2,3軒のスーパーが選べる場所があります(ない、という方も、10分も歩けばありますが)。いざ、実際に住んでみると、スーパーが近いか遠いかというのは意外に大きな要素だと思うのです。

うちでも、しょっちゅう、「そーめんを茹でようとお湯を沸かし始めたけれど、麺つゆが切れてた!」「鍋を作ったけれど、ぽん酢がなかった!」等々で、ご飯の前に猛ダッシュということがあります。こういう時、スーパーが遠いとなかなかしんどいですよね。イオンの「まいばすけっと」がちょこちょこできたので、更に買物利便性は上がっていると思いますが、「まいばすけっと」も少し遠い、買物のエアポケットのような場所は存在してしまっています。

物件価格や賃料には、あまり反映されない「買物利便性」ですが、生活上はかなり重要なので、ポイントを見てみます。

1.スーパーマーケット

毎日、そこで生活をすることを考えますと、一番重要なのは「スーパーマーケット」だと思います。最近は、都心部の人口が増えたために新規出店が相次ぎ、大部分のエリアで徒歩7,8分以内くらいにスーパーマーケットがあることが多いでしょう。

なので、逆に「徒歩10分以内にそれなりに大きなスーパーマーケットがない」という場合は、マイナスとして指摘しています。

2.ドラッグストア

インターネットで購入することが増えたとはいえ、日用品でも「シャンプーが切れていた」「洗剤がなくなったのを忘れていた」等で急いで買いたいことってありますものね。

ドラッグストアは、駅前に大抵2,3軒ありますが、こちらも「徒歩圏内」にない場合は明記するようにしています。スーパーマーケットと比較すると、近くになくてはならないという訳ではないと思いますが。

3.100円ショップ

近くにないことでたまに不便を感じるのが「100円ショップ」だと思います。あの安さと品揃えは、ちょっとした日用品が必要になった場合に、近くにあるとありがたみを感じます。
これは、近くにある場合に、プラスとして明記するようにしています。

4.商店街

正直、「商店街」でないと買えないものってほとんどないと思います。勿論、商店街があることで、たまに遠出をせずに買い物ができて、「近くにあって良かった」と思うことはあるでしょう。

ただ、「商店街」の効果は、買物利便性よりも、その雰囲気にあると思っています。ここ曙橋でも、「商店街があるから曙橋を選んだ」という住民が何人もいます。商店街があることによる、街の温かみ子供が安心して歩ける活気という意味が大きいと感じています。

5.商業集積街やショッピングセンターへのアクセス

曙橋住民は、年に数回ですが、子供服や学用品を大量買いしたいときに遠征を余儀なくされます。新宿のデパートって、お出掛け着等を買うのにはいいのですが、ワンランク大きな服のサイズが必要になった場合や学年が変わって学用品を色々買いたいという場合には、あまり役に立ちません。

この辺のママさんに聞いた話でも、錦糸町の「赤ちゃん本舗」や新木場の「イトーヨーカドー」等まで遠征するという方が多かったです。この辺は、子供がいる世帯でなければ、あまり関係のない話かもしれません。

6.外食利便性

シングルや子供のいない世帯ではかなり重要な意味合いを持つと思いますが、ファミリー世帯でも、ママさんが忙しい時に「外食」という選択肢があるのは、ありがたいですね。

近所に数軒の選択肢と、少し歩けば色々なお店を楽しめるという2段階の便利さがあると嬉しいですね。繁華街にあまり近過ぎると、治安が不安になるので、ほどほどの距離がいいです。

7.まとめ

「買物利便性」は、物件価格への影響はほとんどありません。逆にいえば、物件価格が同じなのだったら、「買物利便性」が高い方を選んだ方がいいと思います。

一般社団法人 不動産分析センター」でも、価格への影響というよりは、住んだ後の満足度が高くなるように、この項目を評価の要素として入れています。