高台立地が原則だが、高台でもダメな場所がある(J-SHIS Mapの見方)

大地震の際、家族の“命”と“財産”を守るためには、まずは安全な『立地』を選ぶことが大前提
立地の選定で1番優先する点を挙げるなら「高台」を選ぶこと

当サイトでは、以上のことを繰り返し述べてきた訳ですが、今回は、その「高台」立地にも例外があるというお話しです。

1.「高台」なのに揺れやすい?

2016年に深度7を立て続けに起こした熊本地震の後に「国立研究開発法人 防災科学技術研究所」により調査されたのが『表層地盤』です。要は、その場所の表層部分の地盤が地震の際に揺れやすいか否かを判定したものです。

簡単にいうと、表層地盤増幅率の数値が“1.8”を超える場所は「揺れやすい場所」です。地震の際に揺れが大きくなる可能性が高いということは、次のような事態に繋がります。

1.建物が倒壊する可能性が高くなる。倒壊まではしなくても損傷する可能性は高くなる。
2.損傷個所が多くなる可能性が高いということは、修繕費用も高くなる。
3.家具などが倒れてくる可能性も高くなるので、家族がケガをする可能性も高くなる。 

当たり前ですが、やはり、地震の際に「揺れやすい場所」には住みたくないものです。

(1) J-SHIS Map

上でも名前を挙げた「国立研究開発法人 防災科学技術研究所」が公開したのが「J-SHIS Map」です。

J-SHIS Map
地震ハザードステーションJ-SHISのホームページです。全国地震動予測地図の情報を公開しています。

「J-SHIS Map」の「表層地盤」を見れば、その場所が地震の際にどれくらい揺れやすいのかが数値で表示されます。上でも揺れやすい場所の表層地盤増幅率の数値(“1.8”超)に触れましたが、逆にこの数値が“1.4”以下だと東京都区内の武蔵野台地エリアとしては優良な部類に入ると思います。

ただ、東京都区内の武蔵野台地エリアで表層地盤増幅率の数値が“1.4”以下の場所は多くありません。あちこちの立地を見てきた経験から、弊社の推奨レベルは同数値”1.6”以下としています。

(2) J-SHIS Mapで「表層地盤」を見る方法

まず、上述したJ-SHIS Mapにアクセスし、上に並んでいるタブの「表層地盤」をクリックします。

■その後、調べたい場所にズームしていき、場所が特定できたら、そのポイントをダブルクリックします。
この時、色が濃すぎて、場所を特定しづらい場合は、左メニューの「透過率」を上げると見やすくなります。

上のキャプチャ画像は、透過率70%で、弊社のある新宿区住吉町付近を表示したものです。選択した250mメッシュのエリアが少し赤く強調されています。この場所の表層地盤増幅率は「1.63」と表示されています。

2.J-SHIS Map の限界

J-SHIS Mapは、250mメッシュ単位の「平均的な3次元地盤モデル」を構築した上での数値を採用しています。

つまり、あくまでモデリングした上での想定数値ということです。ピンポイントで調査対象地の数値を示している訳ではないことに注意が必要です。

また、J-SHIS Map2020年版の公表は「2021年3月」であるのに対し、地質調査総合センターの「都市域の地質地盤図」の公開日は「2021年5月21日」となっています。この「都市域の地質地盤図」によって12万年前~16万年前に作られたという「埋没谷(東京層下部基底面)」の範囲が公開されたので、表層地盤増幅率に「埋没谷」の影響が内包されているとは限りません。
※J-SHIS Map の「国立研究開発法人 防災科学技術研究所」に問い合わせて確認しました。

3.「高台」かつ「揺れにくい場所」を選ぶ

ここ数年、毎年のように「想定外」という言葉を聞きます。雨の降り方が、十年前とは何か違うと感じていらっしゃる方も多いと思います。「浸水リスク」を避けるには、まずは「高台」です。そして、「高台」は地盤も安定していることが多いのですが、例外もある、ということです。

大きな災害が発生した際に、家族の“命”と“財産”を守るためには、『安全』の確度を上げていくしかありません。立地選びで、「高台」であることを確認した後には、この「J-SHIS Map」でもって「高台」の“例外”を追加で確認するようにしてください。