[自分で物件調査01]地形・地盤を調べられるサイトの紹介とその手順

5.物件リスクを自分で調べる方法(立地編1)

今まで、「良い不動産」の考え方について、主に書いてきました。ここからは、良さそうな物件をポータルサイト等で見付けた場合に、具体的に、自分で調べる方法について書いていきます。いわば、実践編です。良さそうな物件を見付けたら、自分でリスクを調べちゃおう!ということです。

まずは“立地”です。立地とは、その土地がある場所の性質のことです。立地というと、都心への接近性を主とする交通利便性が頭に浮かぶかもしれませんが、ここでは、その場所自体の性質(地形や地盤等)に焦点を当てます。なぜなら、交通利便性はすごく重視されるのに対し、不動産としての本質でもある場所自体の性質は軽視される傾向にあることを懸念しているためです。地形や地盤は、不動産の将来性や資産性を左右する重要な要素であることを改めてお伝えしたいと思います。

この章を読めば、不動産屋にダメなマンションを掴まされる可能性が低くなります。つまり、将来的に資産性が下がる可能性が高い物件災害時に損害を負う可能性の高い物件を排除できます。
また、将来売却することになった場合に、競合物件に見劣りし安くしないと売れない物件も見抜けます。

(1) 地形

「これ、良さそう!」という物件を見付けたら、まずやるべきなのは、その物件が建っている土地の地形を見ることです。それは、マンションといえども、結局は土地の上に建っており、その土地の性質(制約)の影響を強く受けるからです。不動産は、土地が基本なのです。

そして、どんな土地の上に建っているマンションなのかを調べるためには、まずは物件を特定しなくてはなりません。

Google Map(https://www.google.com/maps/

物件の特定で一番使えるのは、GoogleMapです。大抵の物件情報では、マンション名は記載されているものの住居表示は省かれていることが多いのですが、GoogleMapですと、マンション名で地図上に表示されるので場所・住所が特定できます。

たまに、物件名では地図に表示されないことがあります。登録がアルファベットだったりする場合です。その場合には、普通にGoogleやYahoo!等で検索して出てきた賃貸の会社のサイト等を見ます。いくつか覗けば、住所が書いてあるものが見付かると思います。
※それで見付からなければ不動産屋に問い合わせするしかありません。物件名の登録を業者が間違えている場合も稀ですがあります。

場所が特定できたら、調査をする対象の土地周辺の『地形』調査に移行しましょう。
(以下、調査をする対象の土地を「対象地」と表記します。)

地理院地図 (http://maps.gsi.go.jp/)

『地形』を調べるには、国土地理院が提供している「地理院地図」が分かりやすいです。この地図は多彩な機能がある優れものなのですが、まずは「土地条件図」を調べます。


TOPの左上にある「地図」アイコンをクリックすると出てくる[地図の種類]のメニューから[土地の成り立ち・土地利用]をクリックします。その後表示されたメニューから[土地条件図]をクリックします。


そして表示されたメニューの一番上[数値地図25000(土地条件)]をクリックします。


この土地条件図でオレンジ色になっている場所が「高台」です。

このように「土地条件図」をみることで、対象地が「高台」にあるのか、「谷地」や「低地」にあるのかが把握できます。一見高台に見えても、点線の斜線がある場所は、盛土や切土です。

また、地図の左下には、地図中央の「+」印の地点の標高が表示されます。対象地周辺に「+」印を動かしてみて、対象地が周辺より高いのか低いのかも把握しましょう。一番良いのは、オレンジ色の「高台」にあり、周囲と大きく標高の変わらない「高台の平坦地」です。

資産性を保てる可能性の高いマンションを購入したいなら、台地の上である「高台の平坦地」を選ぶべきだということは、以前の記事等でも指摘していますが、そのマンションが「高台の平坦地」にあるのかどうかを判断するためにも、ここで述べてきた作業は必須といえます。

対象地の周辺の地形を見ることで、水害に弱い土地というのは容易に把握できます。「洪水ハザードマップ」を合わせて見ることで、より明確に判断できるでしょう。

(2) 地盤

周辺の地形を見ることで「高台の平坦地」に対象地があるということが把握できたとしても、それで十分ではありません。

熊本地震の後に改めて調査され公表された「表層地盤」を見る限り、都区内は武蔵野台地の上といえども、絶対的(全国的)にいえばさほど地盤がいいとはいえないことが分かります。

では、どのようにして「地盤がいいかどうか」を判定すればいいのでしょうか。

結論から言いますと、ピンポイントで対象地の地盤を把握するのは難しいのが現状です。なぜなら、マンションなどは着工前にボーリング調査を必ず行っている筈なのですが、その結果を公表することはないためです。

なので、ポツンポツンとしか散在していないボーリング調査の結果の中から、対象と地形・地質が似通っていると思われる箇所を選び、類推するという方法を取らざるを得ません。

それでも、そのエリアの地盤が推定できるので、一応調べておきましょう。

東京の地盤(GIS版)
http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/jigyo/tech/start/03-jyouhou/geo-web/00-index.html

こちらは東京都建設局が公開しているサイトで、都内で実施された地盤調査で得られた地質柱状図を表示しています。ただ、あまり数が多くありません。


上の図は、「東京の地盤(GIS版)」の地図で曙橋駅のある新宿区住吉町付近をキャプチャしたものです。青くなっているのが住吉町です(色塗りは筆者が加工しました)。黄色い丸が公開されているボーリング調査の結果を見ることのできる地点です。住吉町に4箇所しか公開されているものがないことが分かります。

この中から、対象地と類似の地形・地質であると推測される地点を選びます。ここで役立つのが、上で見た「土地条件図」です。私の事務所を対象地とすると、対象地付近の地点の中で、同じ低地(谷地)の盛土エリアにあるが対象地と類似していると推測されます。

この地点のボーリング調査の結果を見るには、地図の左上にあるメニューボタンの[矢印]を押します。

この矢印ボタンを押すと、カーソルの先に小さな水色の丸が付くようになります。その状態で、調べたい地点の黄色い丸をクリックします。すると、左下に


と表示されます。この「柱状図」の赤い丸をクリックしますと、その地点のボーリング調査の結果(柱状図)が表示されます。

このボーリング調査の結果(柱状図)の見方は(詳しく知りたい方は他に詳しく説明しているサイトを検索してそちらをご覧いただきたいのですが)、誤解を恐れずに簡単にいうと、N値(打撃回数)が深度の浅いところでも最低3以上、できれば5以上あれば「都心部の高台として合格といえる地盤の固さ」を保有していると判断してもいいと思います。

少し深くなったところがN値ゼロになっていたりする地点もあるので、そう単純なものではないのですが、例外を挙げているとキリがないので、ご自身で調べるという段階では、地表に近い部分がN値3~5でいいでしょう。

さて、曙橋駅のある住吉町にあるボーリング調査地点ですが、の地点のものは、


となっています。地表近くのN値も2や1ですし、その下も少し硬い地層になったかと思うと、また柔らかい地層が現れるという状態で、「地盤のいい地点」とはとても言えないことが分かります。

の地点の柱状図は更にひどい状態です。対象地(私の事務所のある場所)は、が作る三角形の真ん中のような場所に位置するので、地盤も悪いであろうことが推定できる訳です。

ただ、ここまで言っておいてなのですが、柱状図はほんの数m動いただけで結構違う数値を出すことがあります。なので、マンションを建てる際には、必ず敷地内でボーリング調査をします。ここで説明した内容は、ピンポイントのボーリング調査のものではないので、あくまで地盤を推定する方法であり、参考とすべきものであることに注意してください。

しかし、推定でも、地盤が弱いと思われる場所に建つ建物にはリスクを感じます。マンションを買うというのは、一生に一度くらいの大きな買い物なのですから、リスクのできるだけ小さなマンションを選んでいただきたいと思っています。

また、マンションなどは支持層まで杭を打つのだから地盤は関係ないのではないかとする意見もあるのですが、東日本大震災の際も、曙橋周辺でヒアリングした限り、高台に住んでいる人の方が「皿が割れた」「本が落ちてきた」と話す人の割合が少ない印象がありました。私は、地盤の固さは地震のときの揺れ等に影響があると思っています。

※地盤はN値だけで判断できるものでもないのですが、N値が分かりやすいので、入門編としてN値で判断する方法を紹介しています。悪しからず。

《参考サイト》
区によっては、ボーリングデータを別途公開しています。
【新宿区】新宿区地盤情報閲覧システム
【中央区】中央区地盤情報システム
【豊島区】豊島区地盤資料(ボーリングデータ)
【江東区】江東区建築情報閲覧システム
【足立区】あだち地図情報提供サービス(地盤ボーリングデータ)
【大田区】大田区地盤資料閲覧システム
※他の区でも資料として公開している区はあります。また、WEBに公開しているのに漏れている区がありましたら、ごめんなさい。

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「不動産鑑定評価基準」に則った評価手法ではありませんが、一般消費者が自分で、家のPCやタブレットで簡単に物件調査ができる方法としての提案です。別の言い方をしますと、多くの業者はインターネットで調査できる、これくらいの調査もしないで物件を勧めてきます。一般消費者も、自分で情報を集め、できる範囲で調べることで、後で騙されたと後悔するような物件購入は防げるのではないかと思っています。