不動産の基礎知識

一般消費者が30年にも及ぶ借金をした上で購入する「住居」ですから、絶対に「資産性の高い物件」を選びたいですよね?では「資産性の高い物件」とは、どのような条件を満たすものなのでしょうか?
「駅から近く雨が急に降ってもほとんど濡れないでエントランスに着く。」 「駅近」は確かに重要な要件ですが、駅近ならいいのかというとそれだけでは何ともいえないですよね。お店やオフィスなら駅近の方がいい!と言い切れますが、住居となると治安や夜間の静けさも重要です。他の条件も「資産性」とは関係ありません。「好き嫌い」で判断するものです。 不動産鑑定士である私のところにも「資産性の高いマンションを検討しています。」とおっしゃりながら、“幹線道路沿い”の“谷地”という立地のマンションを候補に入れていたりする方が相談にみえたりします。「資産性」を気にするのであれば、「高台以外の立地は選ばない」くらいの決意が必要です。 「資産性」を減ずる可能性を生じさせる大きな要因として、
の2つがあります。不動産マーケットが下落すれば、自身の所有する物件の価値も下落することは容易にご理解いただけると思います。(なので買い替え以外の方が、マーケットの天井で購入すると資産性が毀損される可能性が高くなります。) そして、マンション選びの際にあまり検討されていない「建物が損壊する可能性」も欠かすことのできない要因です。詳しくは、次章以降をお読みいただきたいのですが、マンションは“共有物”であり、建て替えや大規模な修繕が難しい建物です。地震などの際に損傷・倒壊する可能性の低いものを選ぶ必要があります。 では、どのようなマンションが損傷・倒壊する可能性が低いのか? 次章以降では、不動産鑑定士として、一般消費者が不動産の購入を考えた場合に、知っておいた方がいいと思える“正解”をご紹介したいと思います。 不動産を選ぶ際、色々な条件が絡み合いますが、その条件の中にも「絶対にこっちを選ぶべき!」という正解がある場合と、好みによって選べばいいんじゃないですか、という場合があります。 正解がある場合●地盤 好みによって選ぶ条件●建物のデザイン、階層、開口部の方位 予算面から「不動産の正解」=「ベストな選択」とならない条件●古い建物と新しい建物 一番上の条件のように、不動産にも「正解」と言えるものがあります。 以下、少し詳細に見てみましょう。 |
第1部 居住用不動産
第1章 住まい基本(安心安全)編 |
(1)安心安全(大地震想定編) ●住まいの基本は、安心安全に暮らせること、これが断トツで一番重要です。 ●安心安全に暮らしたいなら、大地震に強い建物を選ぶ |
(2)安心安全(大水害想定編) ●安心安全に暮らしたいなら、大水害でも大丈夫な立地を選ぶ |
(3)安心安全(防犯編) ●安心安全に暮らしたいなら、防犯面では必ずこれをチェック |
第2章 資産性編 |
(1)利便性 ●不動産の資産性を高めたいなら、交通利便性を最も重視すべき |
(2)地盤や建物の堅牢性(第一章と同じ) ●不動産の資産性は、建物の堅牢性に左右される |
第3章 マンションか戸建の選択編 |
(1)処分・変更の自由度から比較 |
(2)大地震の際の倒壊リスクから比較 |
(3)セキュリティ面から比較 |
第4章 不動産を買うタイミングに損得はあるか?編 |
(1)終の棲家を買う場合 |
(2)買い替えを前提とする場合 |
第2部 収益不動産
第4部 物件リスクを自分で調べる方法 |
(1)[自分で物件調査01] 地形・地盤を調べられるサイトの紹介とその手順 |
(2)[自分で物件調査02] ハザードマップの見方と地歴の調査 |
(3)[自分で物件調査03] 周辺環境のリスクを見付ける |
番外編 |
(1)公証力を認められているのは不動産鑑定士の出す価格だけ |
(2)不動産鑑定士の仕事は、エンドユーザーの役に立つか? |
以上、不動産鑑定士として勉強したことがお役に立てば幸いです。
※目次の先の記事は、追々書いていきますので、少々お待ちください。