住環境の良いところに住みたいなら、重視しなくてはいけないポイント

『住環境』とひとくくりにしていますが、広い意味だと上階の足音なんかの騒音問題なども住環境ですよね。ですが、残念ながら、物件探しを始めた段階では、その部屋固有の環境問題は把握できません。ここでは、物件の周辺環境に関して気にしないといけないポイントを挙げます。

私は、「家」というものは、家族の命と財産を守ることが第一の機能だと思っているので、周辺環境でも、まず最初に安全性を気にします。

治安(犯罪情報マップ)

治安がいい地域かどうかは、主に2つの方法で判断します。データと“足”です。データとは、警視庁が発表している犯罪情報であり、“足”は自分で現地周辺を歩くことです。

(1)犯罪情報マップ
まずは、データの方ですが、これは警視庁が便利なサイトを公開してくれています。

犯罪情報マップ https://map.digipolice.jp/

この地図を見れば、町丁目単位で犯罪発生数を把握できます。ただ、注意点としては、町丁目単位なので、広い町域の方が犯罪発生数が多くカウントされる傾向があることです。逆に、狭い町域(新宿区に多いですが)だと犯罪発生数が1年間でゼロということも珍しくありません。その町域だけをピンポイントで見るのではなく、周辺も見るようにしましょう。調査したい物件が存する町域の周辺も安全なエリアなら、治安がいい場所であるといえます。

(2)現地調査
データで安全な地域であると示されていても、現地確認は絶対に必要です。極端なことを言えば、全刑法犯罪発生数が年間25件未満の町域(一番安全な水準)でも、購入を検討している物件の近くで、そのうちの20件が発生しているのなら、地域は安全でも、その物件は安全とは言えないですよね。

ただ、実際にはそんなピンポイントには分かりません。警察も、細かい犯罪発生個所まで教えてくれません。なので、自分で見るしかありません。街灯の少ない暗い道ではないか、カーブしていて見通しの悪い細い道路ではないか、見知らぬ車が駐車していてもあまり気にされないような場所ではないか等々、現地をチェックすることは必須です。

交通安全(交通事故発生マップ)

特に小学生のいるファミリーは、交通事故も気になると思います。まだ視野が狭く安全確認が覚束ないのに子供だけで出歩くようになりますから。でも、交通事故については、自宅の前の道路の安全性を確認することが第一だと思います。

玄関の前の道路の車の通行量が多いのか少ないのか、車の通行量の多い幅員の広い道ならガードレールが整備されているかをチェックします。子供は、どんなに気を付けていても飛び出すものだという前提で道路を観察します。

その上で、交通事故発生マップ(https://www2.wagmap.jp/jikomap/Portal)を見て、事故が多く発生している道路は気を付けるように、子供ともよく話し合うという対策となるでしょう。

嫌悪施設

嫌悪施設とは、一般的にマイナスイメージに捉えられ、近くにあると物件の価値に影響するような施設のことを指します。

具体的には、清掃工場、下水処理場、葬儀場、墓地等の不快感・嫌悪感を感じる人が多い施設や、実際に騒音や悪臭を発生させている工場やガソリンスタンド等、住環境の品位を貶めるような風俗店や浮浪者の溜り場等々が挙げられます。

最近では、学校や保育園なども嫌悪施設に含める方もいるようです。この嫌悪施設については、人の感じる嫌悪感によって判断されるので個人差があります。私も、ガソリンスタンドは臭いもありますが、万が一の確率では爆発火災の可能性もある施設なので、あまり近くにある物件は絶対に勧めません。また、風俗店も、深夜までうるさい可能性があるという点の他にも犯罪発生可能性を考えると、絶対に近所にはあって欲しくありません。

ただ、以前、南側が墓地の物件で「墓地なら建物が建たないし、4階の部屋の中からは日常的に目に入る訳でもないから、安くなっているのはお得だ」という方もいました。お彼岸などには、線香の臭いなどが気になるのではないかと思ったのですが、年がら年中臭いが漂っている訳じゃないだろうから問題ない、とのことでした。嫌悪施設の種類によっては、こういう気にならない方にとって、安く買えるチャンスともいえます。ただ、売ろうと思ったときにも、高くは売れないですが。

騒音可能性

『住環境』で、安全安心のリスクの次に問題にすべきなのが、この「騒音」だと思います。「閑静な住宅街」という言葉がありますが、最近、この「閑静な」環境があまり重視されていないような気がします。

幹線道路などの大きな道路沿いにマンションがあるのは、幹線道路沿いは商業地域であることが多く、容積率が大きいからです。建物を作る側の都合です。容積率が大きい土地には、高い建物が建設され、それは部屋数も多くとれるので、価格も手頃にしやすいです。ですが、「家」には、リラックスできる空間が必要です。騒音の可能性がある幹線道路沿いの物件は、お勧めしたくありません。(幹線道路沿いには他のリスクありますが、既述しているので、割愛します。)

その他、飲み屋街が近くにある場合も要注意です。閉店の時間ごろに大きな声で騒ぐ酔客や、立ち小便する輩などがいるので。

また、学校や保育園(幼稚園)なども、音という点では気にせざるを得ない施設です。私としては「嫌悪施設」とは言いたくありませんが、休日などにも学校は区の団体に開放されているので、サッカーや野球の少年団の声が響きます。特に運動会のときなどは、結構大きな音が出ます。

通常、音が出る施設の近くにある物件は、その分安くなっていないといけませんが、気にならない方には、安く買うチャンスと言えるかもしれません。

閑静な住宅街 ⇔商業地

「閑静な住宅街」というのは住環境としてはベストな場所です。みんなが住みたいと思う場所として、この言葉が不動産広告のキャッチコピーになったといっても過言ではありません。

「閑静な住宅街」は、静かというだけではありません。街並みが整然としていて落ち着いていて、よそ者が歩いていると不自然さを感じるような雰囲気があります。安全安心の観点からも、「閑静な住宅街」は優れています。また、昔からのお屋敷街が多いので、高台にあることが多いのも特徴です。

それに対して、商業地は、文字通り商売をやるのに適している場所であり、人通りが多く、犯罪をもくろむ輩も人混みに紛れやすいため、どうしても安全性も劣ります。騒音の可能性だけでなく犯罪可能性からも、住むという観点からは「閑静な住宅街」に劣ると考えています。

階層・設備

ここまで「周辺環境」について見てきましたが、少し、建物についても触れます。ただ、これについては関連サイトで記事にしていますので、そちらをご覧ください。ここでは、サワリだけ触れます。

階層
安全安心を第一に考えた場合、戸建てよりマンション、しかも4階以上が安全です。

設備
小さな子供が留守番をすることがある家庭では、「モニター付きインターホン」は必須だと思います。また、「宅配BOX」も宅配業者のなりすまし対策には有効だと思います。

結論

しつこいですが、「家」は家族の命と財産を守ることを一番に考えて選ばなくてはなりません。そして、そこはリラックスでき、家族の団らんの空間であることも求められるでしょう。

安心安全に、快適性も重視して「家」を選ぶ場合、『住環境』は最重要視しなくてはならないチェック項目です。「資産性」という意味でも、『住環境』に問題があるエリアは、マーケットが悪くなると売れにくくなるのは間違いがありません。つまり、価格が下落する可能性が高いということです。安くしないと売れませんから。

物件の内見の際など、なかなか同行の業者さんも、周辺環境までは一緒に歩いて見てくれませんが、重要なポイントだと頭に入れていただき、複数回現地を歩いていただけたらと思います。