甲州街道や山手通り等々、一般道ですが車の通行量が非常に多い「幹線道路」沿いは、容積率の高い(高い建物が建築可能な)「商業地域」に指定されていることが多く、中高層マンションが建設され、物件の供給も比較的多くあります。
「幹線道路」沿いは、商店街や商業施設が近いことも多く(買物利便性が高く)、駅が近いことも多い(交通利便性も高い)ので、「良い物件」に見えてしまうことがあります。
単身で住む場合には、それでもいいと思います。ただ、ファミリー(特に小さな子供がいる場合)で住むのでしたら、お勧めできません。
幹線道路沿いの物件のリスク
「幹線道路」沿いに住むことのリスクにはどのようなものがあるのでしょうか。
●交通事故危険性
●騒音
●振動
●粉塵
以上の4つの面から「リスク」が大きい(幹線道路沿いではない物件と比較して)と判断しています。
≪「幹線道路」沿いとは、幹線道路から何メートルまでを指すのか?≫ 「幹線道路沿いの物件」というのは、道路に面している物件を指します。ただ、これらのリスク要因の影響の範囲という意味では、正確に線を引ける訳ではないですが、おおよそ100mと考えています。200m離れていれば、更に安心だと思っています。 |
交通事故危険性
幹線道路沿いは、大抵歩道や街灯が整備されているので、夜でも安心して歩けます。ただ、小さな子供が大きな道路を横断するのはリスクがあります。その最たるものが「巻き込み事故」です。また、幹線道路では、スピードを出している車やバイクが横断歩道に進入する場面も散見します。これらのリスクは、生活道路と比較すると大きいと言わざるを得ません。
騒音
車やバイクの走行音については、夜中に一度現地でご確認いただきたいと思っております。車をお持ちであれば、購入候補の物件の近くに止めて、どれくらい音が響くか確認することをお勧めします。私の事務所は、靖国通りから60mほどの距離にありますが、たまに夜中まで事務所で仕事をしていると、昼間は気にならなかったバイクの走行音やトラックの走行音、クラクション等が響きます。(ここは古い建物なので、それもあると思いますが。)
築浅のマンションは、二重サッシ等で、「防音は完璧です」と謳われていると思いますが、夜中は意外に音が響くので、ご注意いただきたいと思っています。
振動
こちらも、夜中、寝静まったころに大きなトラックが通行すると、微妙に振動を感じるという話を聞きます。幹線道路は、低地や谷地の地盤のあまりよくない場所を通っていることも多く、振動の影響を受けやすい面があるのではないかと思っています。
粉塵
排気ガスや車が通行することによって巻き上がる粉塵による影響も無視できません。窓ガラスが汚れる、手すりがすぐ黒くなる等の他にも幼い子供の健康に関するリスクもないとはいえません。
[呼吸器内科医ブログ]
呼吸器内科の先生によりますと、幹線道路から100m未満に住む乳児は呼吸器感染症にかかるリスクが高いそうです。
⇒http://pulmonary.exblog.jp/20493310/
[そらプロジェクト]
環境省では、幹線道路沿道における局地的大気汚染と呼吸器疾患との関係について解明するため、平成17年度から幹線道路住民を対象とした大規模な疫学調査「局地的大気汚染の健康影響に関する疫学調査−そら(SORA)プロジェクト−」を実施いたしました。
⇒http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13826
この4番目の粉塵の話につきましては、医大の先生とも話をしたことがあるのですが、「幹線道路沿いに住むと、気管支疾患を患う可能性が高い」と断言できるほどの証明はされていないとのことです。
ただ、「関係ない」とも言えず、どちらかと言えば、「関係がある可能性が高い」というレベルだそうです。
結論
上記4点とも、「気にならない」「都内なら一緒でしょ」と仰る方もおります。
私も、気にならない方には、「でしたら問題ないと思います」とお伝えしています。ただ、リスクがない訳ではないので、そのリスクはきちんとお伝えした上で、基本的には幹線道路沿いの物件はお勧めしないことにしています。
「幹線道路」沿いの物件には、上記のようなリスクがある限り、そのリスクがない(その影響が少ない)物件と比較すると、価格が安くなくてはいけないと思っています。また、資産価値という面でも、価格の下落率は、リスクのない物件と比較して大きくなる可能性があります。